三菱UFJトラストシステム
Business 仕事を知る

Cross Talk 01 新NISAプロジェクト

新NISAがひらく、
資産形成の新しい未来。

2024年、大きく生まれ変わった「新NISA」制度。NISAとは、個人の資産形成を後押しする国の制度で、投資で得た利益を非課税にする仕組みです。今回の改定では、非課税期間が無期限となり、年間投資枠も大幅に拡充されました。こうした制度の変更に伴い、「投資信託窓口販売システム(以下、投信窓販システム)」の設計を根本から見直す、大規模プロジェクトが始動しました。今回お話を伺うのは、プロジェクトマネージャのSさんと開発チームリーダーのKさん。本プロジェクトの中核を担うお二人に「新NISAプロジェクト」の舞台裏を語ってもらいました。

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  • PROFILE 01

    Y.S.

    2003年キャリア入社

    前職は保険会社のシステムエンジニア。より大規模なシステム開発に挑戦したいという思いから、三菱UFJトラストシステムに転職。本プロジェクトでは、プロジェクトマネージャとしてチームを率い、全体の進行管理や統括を担う。

  • PROFILE 02

    A.K.

    2020年新卒入社

    学生時代の専攻は文学部で、IT未経験からエンジニアに挑戦。持ち前の吸収力とコミュニケーション力を武器に経験を積み、本プロジェクトでは約50名のメンバーをまとめる開発チームリーダーを務める。

プロジェクトの背景

法律や制度が変わる時、
システムもまた、
生まれ変わる。

プロジェクトのお話を伺う前に、そもそも、「新NISA」とは、どのような制度なのか気になります。簡単に教えていただけますか?

  • A.K.

    制度が複雑で、なかなか分かりづらいですよね。そもそもNISAとは、国が個人の資産形成を後押しするために設けた、“投資で得た利益が非課税になる制度”です。この制度によって投資を始める人が増えれば、企業への資金供給が活発になり、その資金が新しい事業や雇用を生み出すきっかけにもなります。つまりNISAは、個人の資産形成を支援すると同時に、日本経済の循環を促進することに一役買っているんです。

  • Y.S.

    2024年に始まった「新NISA」は、これまでのNISA制度とは大きく異なる新しい仕組みです。従来の投資金額は、「つみたてNISA」で年間40万円、「一般NISA」で年間120万円までと上限が決まっていましたが、新制度では年間最大360万円、生涯で1,800万円まで投資できるようになりました。さらに、これまで5年や20年と期限があった非課税期間が、無期限になったのも大きな特徴です。長期的に資産を運用できるようになったことで、退職後の生活資金を見据えてじっくり資産形成したい方や、短期的な値動きのリスクを避けたい方も、利用しやすい制度になりました。

制度が変わると、システムにはどのような影響があるのでしょうか?

  • A.K.

    例えば、これまでのNISAは「5年間で投資上限〇〇円まで」といった期限つきの制度でした。だからシステムも、 “年度ごとに上限金額を超えていないかチェックする”など、期間や金額の制限がある前提で処理を行っていました。一方、新しいNISAでは非課税期間が無制限になったことで、お客様の取引履歴を半永久的に照会できる設計が求められます。データベース構造、データ容量、検索性能など、インフラ面から抜本的に見直す必要が出てきたんです。

  • Y.S.

    改修の対象は6つのシステム、9つの主要機能にまで及び、約10ヶ月間で数億円規模の費用を要する大規模なプロジェクトがスタートしました。私は投信窓販システムに約20年携わっていますが、2014年のNISA開始以降、ここまで構造から見直した改修は初めてでしたね。

  • A.K.

    しかも、影響範囲は私たちが担当する投信窓販システムだけにとどまりません。インターネットバンキングや、他社が提供する投信窓販システムなど、他システムとの連携も必要になるため、関係者は社内外あわせて数百名にも上りました。

  • Y.S.

    難易度の高いプロジェクトでしたが、私たちが手がける投信窓販システムは、何十万人ものお客様にご利用いただいています。新たなNISA制度を楽しみに待っている方のためにも、このリニューアルをミスなくやり遂げることは、大きな意義があると感じていました。

リリースまでの道のり

関わる人の数だけ、
答えがある。
だから、何度も話し合う。

このプロジェクトで最も大変だったことを教えてください。

  • Y.S.

    いちばん大変だったのは、関係者全員の目線をそろえることです。新NISAの対応は、私たちのチームだけでなく、インターネットバンキングや勘定系システムなどの他システム、さらに複数の外部ベンダーまで巻き込む大規模プロジェクト。それぞれで扱うシステムも専門分野も異なるので、同じ言葉を使っていても、認識のズレが生じやすいんです。

  • A.K.

    特に新NISAは、とにかく情報量が膨大で、国税庁の資料だけでも数百ページ以上ありました。規程の内容を一つずつ正確に読み解き、システムにどう落とし込むかを整理しながら、システムの関係者間の認識をそろえていく。そのプロセスは決して容易ではありませんでした。

  • Y.S.

    そんな中でKさんは、プロジェクトメンバーの間に立って、各関係者との連携を着実に進めてくれました。

  • A.K.

    “制度とシステムの両方を誰よりも理解すること”は、とくに心掛けていました。文章だけではイメージしづらい部分が多かったので、どうやったら上手く伝わるのか考え、図にまとめて構造を整理し、それをベースに他システムの担当者や信託銀行のユーザーにも共有しました。複雑な制度の仕組みを“見える化”することで、みんなの理解が一気に進んだように思います。

  • Y.S.

    インターネットバンキング画面の要件定義では、システム担当者間で意見を出し合って協力しながら、信託銀行のユーザーと密に連携することを大切にしていました。ボタンはお客様にとって分かりやすい位置にあるか、その制御で誤操作を防げるか。こうしたユーザービリティに関わる部分は、実際にお客様と接している現場の皆さんの声が重要なヒントになります。特に投信窓販システムの場合、その利便性は、新NISAという制度への親しみやすさにも直結します。画面の向こうにいるお客様の気持ちまで汲み取れるように、常に意識していましたね。

Kさんは、文系出身・入社4年目でこのプロジェクトに参加されています。どのようにして乗り越えたのでしょうか?

  • A.K.

    ここまで大きなプロジェクトに関わるのは初めてだったので、最初は正直プレッシャーがありました。新NISAは制度も複雑ですし、関係者も多い。判断が難しい部分もあって、そういう時は、信託銀行のユーザーに相談して、制度の解釈が正しいかどうか、国税庁の方に確認してもらうこともありました。社内外の皆さんに支えていただきながら、少しずつ理解を深めていった感覚です。

  • Y.S.

    Kさんを見ていて思うのは、本当に負けず嫌いなんですよね。一度つまずいたことは、必ず次に克服してくる。私はこの会社に長年勤めていますが、やっぱり、自ら行動できる人ほど大きく成長していると感じます。与えられた範囲だけで仕事を終わらせず、なぜそうなるのか、どうすればもっと良くなるのかを掘り下げ、プロジェクトリーダーにも相談しながら、他システムの担当者も巻き込んで、チームとして課題を解決していく。 Kさんはそうした姿勢を日々実践していて、今では「この分野ならKさんに聞こう」と社内で名前が挙がるほど、頼られる存在になっています。

  • A.K.

    ありがとうございます(笑)。でも、頑張れたのは周りの方々のおかげです。Sさんをはじめ、先輩方が本当に話しやすくて、どんなに忙しくても、質問すれば必ず手を止めて聞いてくださるんです。「こうした方がいいんじゃない?」とアドバイスをくださることもあれば、「これは自分で考えてみよう」と任せてくださることもある。そんなサポートがあるからこそ、自分の頭で考えて動く力が鍛えられたのだと思います。

今後の目標

このシステムが、
誰かのはじめの一歩になる。

10ヶ月にも及んだ本プロジェクト。達成感を得たのはどのような瞬間でしたか?

  • A.K.

    リリースのGOサインが出た瞬間ですね。そこに至るまで、全員が納得できる形をつくるのは本当に大変でした。特に、新制度の細かいルールや曖昧な表現を一つずつ解釈して、システムに落とし込む作業は、時間もエネルギーも必要で。全ての関係者の合意を得て、リリースを実現できた時は、こみ上げるものがありました。

  • Y.S.

    私はシステムリリース後、信託銀行のユーザーから「目標のNISA口座開設数を達成しました」とご連絡いただいた時、本当にやってよかったと思えました。投資は、個人の資産を増やすためだけにあるのではありません。その投資は、企業の資産となり、新しい挑戦への推進力となっていく。そうして経済が活発化することで、社会全体が少しずつ良くなっていく。このシステムは、誰かの投資の第一歩を後押しするだけでなく、社会の未来を豊かにすることに役立っています。そんなプロジェクトに貢献できたことが、私自身にとっても大きな誇りです。

ありがとうございます。それでは最後に、プロジェクトを通じて得た成長、そして今後の目標について教えてください。

  • A.K.

    このプロジェクトを通じて実感したのは、システムは一人の力では絶対に完成しないということです。制度改定と聞くと、ルールが変わるだけのように思われがちですが、その裏では何百もの処理が動いています。そこには、「どうすればお客様が安心して使えるか」を考え抜いた信託銀行の皆さんの工夫や、システム担当者の努力が詰まっています。私たちがつくる仕組みは、単なるコードの集合体ではなく、みんなの想いを結集したシステムなんです。これからは、そんなプロジェクトメンバーの想いを原動力に、お客様や信託銀行の期待を超えられるようなシステムへと、私自身が導けるようになりたいです。

  • Y.S.

    私にとっての喜びは、まさにKさんのように若手が成長していく姿を間近で見られることです。今回のプロジェクトでも、多くの関係者を巻き込みながら前に進んでいく姿に、こちらも刺激をもらいました。
    システム開発の仕事に正解はありません。お互いに意見を交わし、時に迷いながらも最善を探る道のりにこそ意味があります。右向け右で全員が同じ方向を見るのではなく、それぞれが「自分はこう思う」という意志を持つ。どのような未来を目指したいのか自ら考え、行動する。そんな一人ひとりの踏み出す一歩が、システムの先にいるお客様の安心や信頼につながっていると信じています。